【親子】

通則法28条は、両性平等の観点に加えて、子の利益のために嫡出性が認められやすくなるように選択的連結を採用する。

◎非嫡出親子関係
非嫡出親子関係については、通則法29条により規定される。なお、事実主義・認知主義のいずれに基づく場合であっても、非嫡出関係の準拠法は29条1項前段により規定される。また、認知主義による非嫡出親子関係の成立については、1項及び2項において選択的連結を採用することで、認知の成立を容易にして子の利益を図っている。

◎セーフガード条項
29条1項後段、2項後段は、この本国法以外が準拠法となる場合には子の本国法上の保護要件を満たすことを要求する。これは、子の利益保護のために設けられたセーフガード条項である。

◎準正
通則法30条は準正について規定する。準正が容易に成立するように選択的連結を採用する。ここにいう「要件である事実が完成した当時」とは、婚姻準正であれば父母の婚姻時、認知純正であれば認知の時点となる。なお、婚姻や認知の成立については、先決問題としてそれぞれの準拠法による。

◎養親子関係
通則法31条は養親子関係について規定する。養親子の生活は養親の本国で営まれることが多いことから、1項前段は養親となるべき者の本国法を準拠法とする。もっとも、同項後段のセーフガード条項によって子の利益保護を図っている。同条2項は、養子縁組制度は養親子関係の成立から終了までを含めて制度設計されていることが多いことから、それらを同一準拠法とする旨を定める。

なお、共同縁組の場合には、養父・養母の各本国法において縁組の成立を判断することになる。そうすると、子は父母いずれかのみと養親子関係が成立する可能性があるが、その場合には公序則(42条)により、養親子関係が成立しない方の本国法の適用結果を排除することで対応する。

◎親子間の法律関係
通則法32条は親子間の法律関係について規定する。28条から31条によって親子関係が成立した場合の関係について、抵触法上の両性平等の実現及び子の福祉の観点から定める。なお、同条にいう「知れない場合」とは、父母が誰か分からない場合のことをいう。また、同条により決せられた準拠法は、身分関係と財産関係を区別することなく適用される。