【国際私法とは】
国際私法は別名抵触法とも呼ばれ、日本の裁判所が管轄権を有するか否かを決定するための法選択規制のことである。私人間の法律関係のうち、当該法律関係を構成する要素の少なくともひとつが外国と関わっているものを言う。
なお、自国での適用を想定した強い政策目的を有する法規(絶対的強行法規)は、国際私法が選択する準拠法にかかわらず、当該事案に直接適用されることとなる(特別連結)。これを可能とする根拠は、絶対的強行法規が通則法の特別法であるためとされる。
Q.外国の強行法規は特別連結されるか。
A.外国法については、通則法の特別法であるとの説明が妥当しないため、特別連結は認められないと解される。
【目的・理念】
国際私法の目的は、渉外的法律関係に生じる紛争を円滑に解決し、もって渉外的法律関係の予測可能性を高める点にある。また、その究極的な理念として、判決の国際的調和を図る点も挙げられる。
【特徴】
各国の法律について価値中立的な視点に立ち、法廷地法を含めた各国の法を価値的に対等なものとして考える(内外法平等)。これを前提として、国際私法の役割は、当該渉外的法律関係について最も密接な関係のある地の法(以下、「最密接関係地法」という。)を適用することにある。各国が再密接関係地法を適用することで、判決の国際的調和を図ることにも繋がる。
【国際私法の適用の流れ】
①法性決定
婚姻や相続など、いかなる法律関係(以下、「単位法律関係」という。)に該当するかを決定する。
②連結点の確定
当該法律関係を準拠法を結びつけるため、当事者の国籍や目的物の所在地などの何らかの要素(以下、「連結点」という。)を確定する。
③準拠法の特定
連結点が確定されることで準拠法が特定されるのが通常であるが、例外的に、準拠法国とされた国の国際私法規定を考慮する場合(以下、「反致」という。)や、アメリカ合衆国のような不統一法国においては更に準拠法を特定する場合がある。
④準拠法の適用
準拠法の適用にあたり、その内容が不明の場合の処理や、外国法の適用結果が国内の公序良俗に反する場合の処理が問題となることがある。
【抵触規則の種類】
・双方向抵触規則…内国法が適用される場合に加えて、外国法が適用される場合をも規定する抵触規則
・一方的抵触規則…内国法が適用される場合のみを規定する抵触規則