【物権】

物件は直接排他的な支配権であるため、目的物の所在地が最密接関係地であるといえる。また、所在地法によることが実効性を確保することにも繋がる。なお、目的物の所在地とは物理駅な所在地をいう。

物件の種類や内容、効力、対象物、主物・従物の関係などに加えて、所有権の内容についても目的物の所在地法による。また、「登記をすべき債権」とは、登記によって物権的効力が認められる債権のことをいい、不動産賃借権の対抗力などが該当する。なお、当該契約自体の効力については法律行為に関する準拠法を定める7条以下による。

【所在地の変更】

目的物の所在地が変更されても、物権の得喪について定める13条2項により、「原因となる事実が完成した当時」における「目的物の所在地法」により有効に成立した物権は存続する(不変更主義)。もっとも、その内容及び効力については同条1項により新所在地法により決せられる(変更主義)。また、変更後の所在地法に同様の物権がない場合においては、類似の物権がある場合には当該類似の物権の内容及び効力が認められる。なお、変更後の所在地において物権の効力を主張する場合には、新所在地法上の要件を充足する必要がある。

◎法律行為による物権変動
売買や贈与などの債権行為による物権変動の成立及び効力は、同条2項により、「原因となる事実が完成した当時」における目的物の所在地法が準拠法となる。また、当該債権行為が意思主義と形式主義のいずれによるかについては、その時々の目的物所在地法で物権変動が生じているか否かを判断し、生じていた場合には「原因となる事実が完成した」という要件を満たしたこととなり、その目的物の所在地法が準拠法となる。なお、物権変動については物権の準拠法によるが、その原因行為たる契約等の成立及び効力については契約準拠法が適用される。

◎法律行為によらない物権変動
時効取得、遺失物取得、無主物先占、付合、加工などによる物権変動は、これらの「原因となる事実が完成した当時」における「目的物の所在地法」が準拠法となる。