【準拠法の適用】
外国法を適用する際は、当該法律がその地において現実に適用されるのと同様に解釈をすべきである。
Q.準拠法の内容が不明の場合にはいかに処理すべきか。
A.当該準拠法を条理によって補充して処理すべきである。
Q.裁判所が外国法の適用を誤った場合には上告理由となるか。
A.解釈適用の誤りを放置することは判決の国際的調和を害するため、上告理由となると解する。
Q.先決問題と本問題において単位法律関係が異なる法律問題(婚姻と夫婦など)において、先決問題の準拠法をいかにして決定すべきか。
A.国際私法は渉外的法律関係を各単位法律関係に分割して、それぞれの結論により全体の解決を図る構造であることから、ある問題が先決関係か否かとは無関係に、法廷地の国際私法によって準拠法を決すべきと解する。
(※本問題についての準拠法を決定した後に、当該準拠法の要件を満たすか否かの判断において先決問題についての準拠法を別途決する。)
【適用問題】
国際私法が各単位法律関係について異なる国の実質法を準拠法とする構造(モザイク構造)であることから、同一の渉外的国際関係について複数の準拠法が適用されることがあり得る。その場合に、準拠法間の矛盾・不調和が発生することがある。
この点については、適用問題が起こらないように法性決定の段階で単位法律関係を一つに決定するという見解があるが、個別具体的に判断すべき場合もあることから、現状では決定方法の一般化は困難な段階にあるとされる。
【適用排除(公序)】
準拠法の適用結果が内国法の秩序からは受け入れ難いものとなる場合には、例外的に当該準拠法の適用を排除することがある(控除則、通則法42条)。もっとも、内外法平等の観点から、公序則の発動については慎重であるべきとされる。
Q.公序則の発動はいかに判断すべきか。
A.①外国法適用結果の不当性と、②事案の内国関連性の強さを総合考慮して決する。
Q.公序則の発動により外国法の適用が排除された場合、当該事案はいかにして処理するか。
A.法規範の欠缺が生じるところ、内国の公序良俗を守るという42条の趣旨を鑑み、内国法で補充すべきと解する。